8. 一般廃棄物処分場建設差止等請求訴訟

すでに確定した裁判

8. 一般廃棄物処分場建設差止等請求訴訟

裁判名

一般廃棄物処分場建設差止等請求訴訟
原告(債権者) N氏ほか165名
被告(債務者) 循環組合
提訴日 平成7年2月20日
請求内容 [当初]
  1. 谷戸沢処分場周辺への汚染拡大阻止及び汚染土壌・地下水の除去
  2. 谷戸沢処分場しゃ水シートの破損補修、及びその間の搬入禁止
  3. 第2処分場の建設差止
[変更後]
  1. 谷戸沢処分場及び第2処分場の搬入物撤去
  2. 谷戸沢処分場及び第2処分場に係る汚染土壌の除去
  3. 第2処分場の建設差止
  4. 第2処分場への搬入禁止
相手方の主張 処分場により周辺環境が汚染されている。
循環組合の主張 処分場は周辺環境に影響を与えていない。
訴訟の経緯 本件訴訟は、原告の主張が具体性を欠いているため争点がはっきりしなかった。そこで裁判所の提案により平成12年6月7日、谷戸沢処分場周辺の土壌について、ダイオキシン類及び重金属の濃度の鑑定が行われた。その結果、谷戸沢処分場が周辺環境に影響を与えていないことがあらためて証明された。その後、証拠調べを行う前提として、原告・被告双方の争点整理・主張の整理が行われ、平成15年3月をもって終了した。そして、証人尋問が開始されることとなり、平成15年6月から平成16年11月まで原告側証人尋問が、平成17年2月から同年9月まで被告側証人尋問が行われた。

平成18年3月8日、原告及び被告双方から最終準備書面が提出され、同月15日結審した。

平成18年9月13日、東京地方裁判所八王子支部は、本件各処分場には高い公共性と必要性があることと、循環組合による各処分場の事業運営が周辺環境へ汚染をもたらしていないことを認定し、原告らの請求をいずれも退ける判決を言い渡した。
判決概要 [判決主文]
  1. 本件各処分場のしゃ水工に接する土壌及びそれに連続する土壌について、各処分場から流出したダイオキシン類又は重金属で汚染された部分を除去することを求める請求に係る訴えを却下する。
  2. それ以外の原告の請求を棄却する。
[判決要旨]
  1. 最終処分場を確保しなければ、一般廃棄物処理の体系が崩壊し、多摩地域住民の生活や事業活動に大きな支障が生ずることが予想されるから、一般廃棄物最終処分場の公共性・必要性は明らかである。
    また、各構成団体が廃棄物の抑制や減量について相当の努力をしているにもかかわらず、多量のごみが発生しており、これら一般廃棄物を処分せざるを得ないのであるから、本件各処分場には高度の公共性・必要性がある。
  2. 本件各処分場が、周辺環境に対し、環境基準等を超過するダイオキシン類・重金属の汚染がある状況をもたらしているとも、将来そのような状況をもたらす蓋然性があるとも認められず、本件各処分場から、現実的な危険があるダイオキシン類・重金属の流出があるとはいえないから、原告らの人格権を侵害するものであると認めることはできない。
    判決の内容について たまエコニュース39号
その他 平成18年9月27日、原告らの一部は、この判決に対して東京高等裁判所に控訴した。

 

裁判名 一般廃棄物処分場建設差止等請求訴訟控訴審
原告(債権者) A氏ほか58名
被告(債務者) 循環組合
提訴日 平成18年9月27日
請求内容 [当初]
  1. 谷戸沢処分場に埋め立てたすべての廃棄物の撤去
  2. 第二処分場に廃棄物を搬入及び埋立てをしてはならない。
  3. 第二処分場にすでに搬入したすべての廃棄物の撤去
  4. 第二処分場のしゃ水工に接する土壌及びそれに連続する土壌について、同処分場から流出したダイオキシン類又は重金属で汚染された部分の除去
[変更後]
 1~3 は同じ
  1. 各処分場のしゃ水シート下面から垂直下方向に2m以内にある土壌、地下水集排水管など全ての物の除去
相手方の主張 処分場により周辺環境が汚染されている。
循環組合の主張 処分場は周辺環境に影響を与えていない。
今までの経緯 平成20年12月18日 控訴審が結審した。

平成21年6月16日、東京高等裁判所は、本件各処分場には高い公共性と必要性があり、組合の事業運営が周辺環境へ汚染をもたらしていないことを認定した原判決を支持し、控訴人らの請求をいずれも棄却した。
判決概要 [判決主文]
  1. 本件控訴をいずれも棄却する。
  2. 控訴人らの当審における変更後の請求をいずれも棄却する。
その他 平成21年6月26日、控訴人らの一部は、この判決に対して上告手続を行った。

 

裁判名 一般廃棄物処分場建設差止等請求訴訟上告審
原告(債権者) A氏ほか9名
被告(債務者) 循環組合
提訴日 平成21年6月26日
上告理由 原判決には憲法違反、理由不備、理由齟齬があるので、直ちに破棄されるべき
上告後の経緯 平成22年1月20日
高裁から最高裁へ事件記録送付
平成23年4月26日
最高裁判所は、本件上告理由は民事訴訟法第312条1項又は2項に規定する事由に該当しないこと及び民事訴訟法第318条1項により受理するものとは認められないことから、上告人の請求を棄却する決定をした。
決定概要 [決定主文]
  1. 本件上告を棄却する。
  2. 本件を上告審として受理しない。[組合勝訴]