平成14年度 谷戸沢処分場の水質等調査結果について(概要)

平成14年度 谷戸沢処分場の水質等調査結果について(概要)

東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合

平成14年度の谷戸沢処分場関連の水質や発生ガス等の調査結果の概要である。
全体的には、問題となるような結果はなく、安全性が確認された。

水質の調査結果
1.浸出水原水(ごみの層を通った水)

有害性重金属等は検出されないなど、水質に問題はなかった。
なお、平成14年度についても平成13年度と同様、生物化学的酸素要求量(BOD:生物分解可能な有機物の量をみる一つの指標)や化学的酸素要求量(COD:有機物の量をみる一つの指標)の濃度は低い水準で推移した。これは、埋立終了や最終覆土層施工に伴って、廃棄物から洗い出される有機物量が減少し、安定化傾向を示しているものと考えられる。

2.下水道放流水(浸出水原水を処理した後、下水道に放流している水)

平成14年度を通じ、カドミウムなどの有害性重金属は検出されず、全ての項目で下水道へ放流するための基準を十分満足している。

3.防災調整池(埋立地外や最終覆土表面の雨水が集められる防災用の池)

平成14年度を通じ、有害性重金属などは検出されず、BOD、DO及び大腸菌群数を除き準用基準である水質汚濁に係る環境基準(ヤマメやイワナ等の生息する水域に相当する厳しい基準)を満足した。

4.地下水集排水管水・地下水管2水(埋立地内の地下水)

カドミウムなどの有害性重金属は検出されなかった。電気伝導率や塩化物イオン濃度(これらの基準はない。処分場からの影響を見る一つの指標としている。)は、昨年と同様に11月以降、雨量の減少により、若干高めになったが過去の変動の範囲内であり問題はない。
万全を期するため、これらの地下水は全量を浸出水と同様に水処理してから、下水道に放流しているため、周辺環境に影響を及ぼすものではない。
なお、電気伝導率の常時観測(地下水管2水)の結果は図に示すように大きな変化はないものの、緩やかな減少傾向にある。

地下水管2水の電気伝導率の推移

5.モニタリング井戸(処分場内の0番、A及びE井戸)

有害重金属はいずれの井戸からも検出されず、すべての項目で準用基準を下回った。
地下水の水質の特徴が調べられる項目の調査を、本年度より開始した。その結果をイオンバランスの形で見ると、井戸-Oは、細長い形で、雨水に近い水質であった。また、井戸-Aはそろばんの球のような形の、Ca-HCO3型(カルシウム-重炭酸イオン型)であり、井戸-Eは井戸-Aに近いが若干ナトリウム等のイオン濃度が多い。これらは上に開いた形になる浸出水のパターンのNa-Cl型(ナトリウム-塩化物イオン型)とは明らかに異なり、処分場の影響は見られなかった。また、各井戸とも、塩化物イオン濃度は、いずれも、10mg/L以下の低い濃度であった。

6.場外井戸の水質(井戸-1,2,3,6)

有害重金属はいずれの井戸からも検出されず、すべての項目で準用している地下水環境基準を下回った。
場外井戸についても、モニタリング井戸同様、地下水の水質の特徴が調べられる項目の調査を、今期より開始した。イオンバランスの形で見ると、各井戸とも、そろばんの球のような形の、Ca-HCO3型のパターンを示し、浸出水のパターンとは明らかに異なり、処分場の影響は見られなかった。また、各井戸とも、塩化物イオン濃度は、いずれも、10mg/L以下の低い濃度であった。

7.本設モニタリング井戸(埋立地を取り囲むように設置されている10本の井戸)

いずれの井戸も準用基準や要監視項目の指針値を下回っていた。
平成14年度では、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルが本設モニタリング井戸-Jにおいて2月に0.078mg/Lの濃度が検出されたが1回のみであり年平均値としては0.021mg/Lと指針値(0.06mg/L)を下回っている。井戸-Jは道路内に設置されており道路表面の雨水、モニタリング管の材質の影響等が考えられるが、今後推移を注視していく。その他の本設モニタリング井戸からもフタル酸ジ-2-エチルヘキシルは検出されているが微量であり過去の変動の範囲内である。また、6本の井戸からニッケルが微量に検出(0.001~0.004mg/L)されたが、基準値もない物質であり、値も低く問題のない濃度であった。

また、井戸が掘削された所の地質の特性を受け、イオン成分の濃度に違いはあるが、井戸の水質には変化がなく、処分場が影響を及ぼしているような状況はみられなかった。

8.下流部調査(処分場の下流部の99本の井戸(観測孔))

平成12年3月末、下水道放流水の配管工事の際に、下水道放流水の一部が流出した影響を受け、平成12年度は、塩化物イオン濃度が10mg/Lを超える観測孔が31本となった。事故直後から、ただちに洗浄等の対策を講じ、以降は回復傾向を示している。平成13年度は、10mg/Lを超える観測孔は21本に減少し、平成14年度はさらに11本に減少した。

なお、下水道放流水の影響を受けていない観測孔の多くは、10mg/L以下であり、全体的には、安定化傾向を示した。
処分場の下流部の井戸が安定化していることからも、処分場周辺には影響を与えていないことが推定できる。

また、これらの観測孔は、設置されている場所別に4区域に分類しており、各区域の塩化物イオンの平均値を図に示す。

下部流観測孔の各地域の塩化物イオン濃度(平均値)の推移

発生ガス等水質以外の調査結果
1.脱水汚泥溶出試験(浸出水処理施設で発生した汚泥を決められた条件で溶出させた溶液の濃度を測ったもの)

3月の測定においてひ素が0.008mg/L検出されたが微量であり準用基準値である0.3mg/Lを十分に下回っている。その他の測定については、有害性重金属は、いずれも検出されなかった。

2.発生ガス(埋立地内のガス抜き管から採取したガス)調査

平成14年度からは、「廃棄物最終処分場安定化監視マニュアル」等に沿った、処分場の安定化の指標としての発生ガスの調査を開始した。
 平成14年度は、アンモニアは検出されなかった。埋立地特有のメタンがND~24.6%、二酸化炭素がND~7.49%検出された。


なお、検出されないとは、それぞれの化学物質ごとの定量下限値(数値を量ることができる最低のレベル)未満のことをいう。

調査結果の詳細は、「谷戸沢処分場の水質等調査結果について(平成14年度)」に登載